私は人気のある服の列に並ぶのが苦手だ。

私は人気のある服の列に並ぶのが苦手だ。


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本日。某スタイリスト私物系コラボの発売日。セレクトショップでのお話。


はじめに言っておこう。

私が最終的に競争に勝ったか、負けたかについては言及をしない。(それによっていくつかの見方があるからだ。)


私は服が好きだ。

ただ、いわゆるミーハーというやつで、人気が集中したり、雑誌で特集されていたりするとすぐに欲しくなってしまう。よくいる奴だ。

もっぱらドメブラ。

こんなよく分からんタイトルの文を読んでいる貴方ならきっといくつか思い浮かぶものがあるだろう。

そんなミーハーの大好物と言えば、コラボレーションだ。それなりの頻度で、最近の顧客の性癖を熟知したファン垂涎のコラボが盛んに行われている。私はそれをインスタで目にしては、「これは欲しい。なんてものを企画するんだ。最高だろう。しかももう永遠に手に入らない逸品。これは手に入れるべきだ。いや、手に入れなければならない。今まで史上最...」などもう頭がいっぱい。

そう。チョロい。馬鹿なのだ。お前はお前のスタイルがないのか。お前みたいなのが着るなら、私は着たくない。うざい。大量発生likeゴキブリ。イナゴ。そう思われる方もいらっしゃるだろう。

仕方がないのだ。私にも私の思いがあってのことかもしれない。赦してやって欲しい。


ただ、注目度の高いコラボ商品を手に入れるために避けられないことがある。そう。列に並ぶことだ。


あの極悪非道な列というシステム。

よくわからない道路で待たされる。夏は暑く。冬は寒い。減り続けるスマホの充電。暇すぎてもういいよというくらい何度もインスタを更新し、データ通信料と充電のバイブスが上がっていく。これだけでそれなりに辛い。

ただ、正直、まあ、私は身体的苦痛には強い方で、しかも、その先に史上最高(らしい)の逸品が待っているとなれば、いくらでも耐え切れる。どれだけ疲れても帰って寝ればいいだけだから。


じゃあ、何が嫌いなの。と言われれば、

そう、雰囲気だ。


服の行列のために、当然洒落てる人たちが集まってくる。カッコいい。しかも、まあ、東京なんて狭いもんで、洒落ている人は大抵洒落ている人と一緒にいる。最近、何に並んだか。何を買ったか。今何を狙っているのか。ミツルはオーストラリアにワーキングホリデーに行ったやら、え、どこー?え?メルボルン?私と一緒じゃ~ん。お前も行ってたのか。すごいな。やっぱ海外行っとかにゃ、ずっと田舎っぺなのか。そうそう俺とも一緒。ってお前も?お前もなの? と、奴ら特に待ち合わせをするわけでもなさそうなのに、ヨッ!みたいな感じで集まりだす。すごい。いや、本当は羨ましい。間違いなく知り合いと一緒に並んだ方が良い。そっちの方が絶対賢い。そんな洒落てて余裕のある人々の横で、あんまり洒落ていない自分が並んでいるだけで、自分に一瞬でも視線が向けば、足がすくみ、インスタを連続でスクロール&更新してしまう。分かっている。私が自意識過剰なのだ。絶対に、彼らは優しくて、洒落ていて、ユーモラスで余裕がある。分かっているのだが、イナゴとしては、貴方達と同じものを買おうとしてごめんなさい。勘弁してくだい。ぴょんぴょん。と思ってしまう。あまりにもネガティヴ過ぎるだろうか。(もしかして私だけ?)


そうそう、最初に書いたが、今日、面白い列に並んだ。某スタイリストの私物系の行列のことだ。元々それなりに前にコラボのアナウンスが某スタイリストのアカウントよりされていたので、何が出るのか想像が出来ていたが、実際実物の写真を見るとかなりツボであった。(いつもの如く)

彼の(“彼”なんて私如きが言ってはいけない偉大な御仁である)ポップアップストアは、私が高校時代に始めて実店舗で行われて以来、初めから人気は既に、あれ?そこは天井ダヨ?という程あったが、それよりも先へ上へ、どんどんと知名度を上げていき、服飾などに限り、今ではまともな神経では希望カラー、サイズが手に入らない程だ。最近ではあるが、過去、彼のインスタに「次のコラボについて打ち合わせ中」のような(うろ覚え)投稿。そこに良太の姿があった時、そこで私は戦意喪失した。私程度の精神力では挑むことすら許されなかった。


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話がやや逸れた。


大体発売日の週に入ると、どのように販売されるか教えてもらえる。大抵は、「徹夜はダメ」「近所迷惑やめて」「うるさくしないで」「車道に出ないで」みたいな、小学生の注意書きみたいなルールが出回る。まあ、実際に現れるのは、大人たちな訳で、小学生だから許される集団下校も、平均170cmくらいになってくると怖い。しかも何だかオシャレだし。通りすがりの人達からしたら、多分私達が思っている以上に奇妙な光景がそこにあるのだろう。

いつもと同じね。分かりました。ルールは守りますよ。と、読み進めると、いつもと若干違う。そう。朝10時に整理券を配る。ここまでは一緒。しかしその後。「10時以前に列を作っていたら、スタッフが解散させる。」とのこと。しかも「10時に出来た列の順番に整理券を配る。」一瞬意味を理解するのに時間がかかった。いや待て。それはどういう意味だ。整理券配るまで列を作るな。しかし、整理券は早いもの順で配るぞ、と。どういうことだ。じゃあ、買いたい人間は何処にいればいいんだ。間違いなく1時間前には、店の周りに人が集まり始めるぞ。しかも、最終的には通常と同じルールの列を作れ。とは、なんだ。どうすれば買えるんだ。通常は一定のモラルを守りつつ早くに来た順に欲しい物が買える。とシンプルかつ明快。しかし、今回ほど難しいものはない。「これは荒れるぞ...」と思った。(特に荒れている様子はありませんでした。)


また話が逸れるが、石川県は能登を知っているだろうか。今人気のニット専業ブランドYASHIKIデザイナーの出身地でもある。私も何度か訪れたことがあるのだが、街には常に鳶が飛んでいる。「ピョー、ヒョロリー」みたいな鳴き声?を響かせながら、大量の鳶が能登の空を旋回している。何を狙っているのか。それは、街の人間が手に持った食べ物だ。能登キッズが手にアイスクリームを持っている!気づいた時には鳶が急旋回急直下で飛んできて、キッズのアイスクリームを掴み、大空へと飛び立っていく。私もその光景を見たことがある。キッズはただ、大空へと飛んでいく自らのアイスを呆然と見ていたのを覚えている。


同じような光景を中目黒で見た。

なんだか洒落た人々がゆら~りゆら~りと店舗の前をうろつき、タイミングを狙う。しかし、先に来た人間より店舗の近くにいくのはやや気がひける為、立ち止まったかと思えば、またゆら~りゆら~りと動き出す。店舗の入り口には店員さんが見張っている。一度、規定の10時前に自然と列が出来たが、その店員さんに叱られて、解散させられた。有言実行である。この自然と出来ていった列にも人間の心理的傾向が垣間見えた気がしたが、ここにも言及し出すと文章が終わらないのでやめておく。

兎に角、奇妙な空間だった。交差する視線。併設されたカフェに群がる人々。(私はアメリカーノを飲んだ。かなり美味しかった)しかし、店内に入りきらないので、店の前にモコっと丸く集まるが、その最前にみんな行きたい。そのために、なんだかみんな本当に絶妙な顔をして前に出ようとする。しかし、そこで最前に出ても、他にもそういった集団が店の周りでいくつもある。そこでも最前を奪い合う静かな戦いが行われている。控えめに言って、私には地獄だった。辛い。服の行列に並ぶ辛さの集大成がここにある。と思った。そこで突然声が聞こえる。「では、スタイリス(ピー)私物の列を..


結論から言おう。


ここで勝利をした人間は、

  1. 10時ギリギリに来て、緊迫した空気を感じ取る必要なく、堂々と店の前に立った人。
  2. カフェの野外席で普通にコーヒーを飲んでいたお姉さん達。


他はよく分からない。

何が悪い。という訳ではない。誰も悪くない。

1.の人々は正しい行動をとったと思う。

2.のお姉さん達はすごい。ただただ賢いと思った。正当にかつ楽に、あまり大きなプレッシャーを感じることなく最前あたりに入ったはずだ。ラッキィなのか。それとも狙ったのか。どちらにせよ。彼女達が最善の選択を取ったと思う。


ただ一つ思ったことは、多分、もし、店舗の近くに近づけば近づくほど、段々とルール違反のレベルが上がっていくとしたら(本当に大雑把だが)ルールを愚直に守った人程、希望の商品、サイズ、カラーが選べなかっただろうなぁということ。

また、列がどの方向に出来るのか定まっていなかったため、人が多い方に列が出来た印象だ。その一団にいた人は達はその人達で、それなりに良いポジションが取れたのではないか。


あとは、気持ち次第。声がかかった瞬間、忍者のように低姿勢で駆け抜けた人を見た。認識した時には彼は既に残像であった。ジャパン。


念の為に書いておく。

店舗に対してマイナスな思いは0.1mmもない。

こんな素晴らしい企画を行う場を作ってくれて感謝しかない。


ただ、そう。やはり、服の列というのは難しいのだ。自意識過剰な私にとっては。

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その後、私はローソンでピュアラルグミを買って帰った。和梨味という美味しい味があるのだ。インスタを確認しながらお湯を沸かした。暖かいお茶を飲むとうとうとしてきて、眠ってしまった。

なにせ、いや、実を言うと、楽しみで眠れなかったのだ。ミーハーだが、ミーハーなりに、彼(最大の敬意を込めて。)の作るものにはワクワクしていたのだ。

そしてもう一つ。一番のルール違反は多分私だった。楽しみで4時間前には現地につき、くるくる鳶のように、川の周りを歩きまわっていた。

そのバチ、かな。おっと。


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